近年、教員の副業に関する話題が注目を集めています。
教育現場での仕事に加えて、副業を行う教員が増加傾向にあります。
しかし、教員の副業には様々な制限や注意点があり、場合によっては処分の対象となる可能性があります。
本記事では、教員の副業に関する現状や注意点、処分のリスクについて詳しく解説します。
教員の方々や教育関係者の皆様にとって、有益な情報となれば幸いです。
〈プロフィール〉
・小学校教員、家庭教師、塾、学童など様々な学校現場を経験。
・現在はその経験を活かして教育記事を執筆中。
・ブログで月収70万以上を1年以上キープ。
現在は手堅く収入を得つつ、非常勤講師として子どもと関わっている。

教員の副業に関する現状
副業を行う教員の増加

近年、副業を行う教員の数が増加しています。
その背景には、教員の給与水準の低下や、ワークライフバランスの見直しなどがあります。
特に若手教員の中には、生活の安定や経験の幅を広げるために副業を選択する人も少なくありません。
一方で、ベテラン教員の中にも、専門知識を活かして副業を行う例が見られます。
このような状況から、教育委員会も副業に関する方針を見直す動きが出てきています。
教員の副業に対する社会の見方

教員の副業に対する社会の見方は、賛否両論があります。
肯定的な意見としては、教員の経済的安定や多様な経験が教育の質の向上につながるというものがあります。
一方で、否定的な意見としては、本業である教育活動に支障をきたす可能性を懸念する声もあります。
また、教員の公平性や中立性を保つ上で、副業が影響を与える可能性も指摘されています。
これらの意見を踏まえ、教育現場では副業に関する慎重な議論が続いています。
教員の副業に関する法的規制

教員の副業に関しては、地方公務員法や各自治体の条例によって規制されています。
基本的に、公務員である教員は任命権者の許可なく副業を行うことはできません。
公立学校の教員は地方公務員法の適用を受け、原則として副業が禁止されています。
地方公務員法にはこのようにあります。
「第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。」
一方で教育公務員特例法の規定には
第十七条 教育公務員は、教育に関する他の職を兼ね、又は教育に関する他の事業若しくは事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第三十七条第一項に規定する県費負担教職員(以下「県費負担教職員」という。)については、市町村(特別区を含む。以下同じ。)の教育委員会)において認める場合には、給与を受け、又は受けないで、その職を兼ね、又はその事業若しくは事務に従事することができる。
とあり、任命権者の許可を得れば副業が可能となります。
許可が必要な副業の範囲は、報酬の有無に関わらず幅広く設定されています。
また、副業の内容によっては、教育公務員としての信用を損なう可能性がある場合、許可されないこともあります。
これらの規制は、教員の本業への専念と公平性の確保を目的としています。
より詳しく知りたい方はこちらの記事もご参考ください。

教員の副業で処分となるケース
無許可での副業

教員が最も処分のリスクが高いのは、無許可で副業を行った場合です。
たとえ小規模な副業であっても、事前に許可を得ずに行えば処分の対象となる可能性があります。
特に、報酬を得る形での副業は、より厳しく判断される傾向があります。
無許可での副業が発覚した場合、戒告や減給、停職などの処分が下される可能性があります。
場合によっては、懲戒免職という重い処分を受けることもあります。
本業に支障をきたす副業

教員の本業である教育活動に支障をきたす副業も、処分の対象となる可能性が高いです。
例えば、副業のために授業準備や生徒指導の時間が十分に取れない場合が該当します。
また、副業による疲労が蓄積し、本業での業務効率が著しく低下するケースも問題視されます。
さらに、副業先での勤務時間が長時間に及び、学校での勤務に影響を与える場合も処分の対象となる可能性があります。
これらの状況が続くと、教育の質の低下につながるため、厳しい処分が下される可能性があります。
教育公務員としての信用を損なう副業

教育公務員としての信用や品位を損なう副業も、厳しい処分の対象となります。
例えば、風俗関連の仕事や、違法性のある業務に関与した場合は、即座に重い処分の対象となります。
また、政治的な活動や特定の思想・信条を広める活動なども、教員の中立性を損なう可能性があるため、問題視されます。
さらに、教育内容と矛盾する商品やサービスの宣伝活動に携わることも、不適切と判断される可能性があります。
これらの副業は、教育者としての立場を考慮すると、社会的な信頼を大きく損なう可能性があります。
教員が安全に副業を行うための注意点
事前の許可申請と透明性の確保

教員が副業を行う際に最も重要なのは、事前の許可申請です。
副業の内容、期間、予想される報酬などを詳細に記載し、任命権者に提出することが求められます。
申請の際は、本業への影響や公務員としての立場を十分に考慮し、説明できるようにしておくことが大切です。
また、許可を得た後も、副業の状況に変更がある場合は速やかに報告する必要があります。
このような透明性の確保が、安全に副業を行うための基本となります。
本業との両立を意識した時間管理

教員が副業を行う上で、本業との両立は最も重要な課題の一つです。
副業の時間が本業の準備時間や休息時間を圧迫しないよう、適切な時間管理が求められます。
具体的には、副業の時間を週末や長期休暇期間に限定するなどの工夫が必要です。
また、副業による疲労が蓄積しないよう、適度な休息時間を確保することも大切です。
このような配慮により、本業である教育活動の質を維持しつつ、副業を行うことが可能となります。
教育者としての品位を保つ副業選び

教員が副業を選ぶ際は、教育者としての品位や社会的信用を損なわないことが重要です。
教育に関連する分野や、専門知識を活かせる分野での副業が望ましいでしょう。
例えば、学習塾での指導や、教材開発への協力などは、教育者としての経験を活かせる良い選択肢となります。
また、地域活動やボランティア活動への参加も、教育者としての立場を尊重した副業と言えます。
これらの副業選びにより、教育者としての信頼性を維持しつつ、副業を行うことが可能となります。
他の副業の具体的事例は以下の記事で解説しています。
合法で収入を得る方法についても記載していますので気になる方はご一読ください。

まとめ

教員の副業は、慎重に行う必要がある重要な問題です。
無許可での副業や、本業に支障をきたす副業、教育公務員としての信用を損なう副業は、厳しい処分の対象となる可能性があります。
しかし、適切な手続きと配慮を行えば、副業を通じて経験を広げ、経済的な安定を得ることも可能です。
教員の皆様は、本業である教育活動を最優先しつつ、副業に関する規則を十分に理解し、慎重に判断することが求められます。
教育の質の向上と、教員の働き方改革の両立を目指し、今後も副業に関する議論が深まることが期待されます。